家庭での注意点について
水洗トイレでの注意点
市販のJIS規格のトイレットペーパーであれば、再生紙でももちろんかまいません。
しかし、その他の紙や紙おむつなどは流さないでください。
また、ペーパーを多量に使いすぎますと、汚泥の量が短い期間で多くなり、清掃の間隔を狭めることになります。
水洗便所の水量はおおむね、大便のとき15リットル、小便の際には5リットルになっています。
トイレの洗浄水は十分流す必要がありますが、必要以上に流すことはありません。
また、音消しなどのための水使用は、節水のためにもできれば控えたいものです。
適量を守って使用している限りは、浄化槽の機能に影響を及ぼすことはありませんが、芳香剤に含まれる色素によって着色され、水質検査のときなどに水質悪化と間違えられたり、香料と槽内の臭気が混じって臭気の問題を起こすこともありますので、注意してください。
市販のトイレ用洗剤であれば、たいていのものは問題ありません。落ちにくいときだけ、中性の洗剤を用い、洗剤の使用量は必要以上に大量に使わないようにしましょう。
特にみなし浄化槽では、糖尿病、高血圧症等の薬の常用が浄化槽の機能低下に関係するといわれていますが、合併処理浄化槽の場合、流入水量が多いので薄められてほとんど影響はないと思われます。
しかし、保守点検の方法・頻度や清掃頻度などで対応した方が良い場合もあります。
台所での注意点
微生物の格好の住まいである浄化槽も限られたスペースですから、おのずと能力の限界があります。家庭用の小型合併処理浄化槽は台所のゴミをすべて引き受けるようにつくられてはいません。台所から出る魚のアラ、野菜のくず、食べかすなどはできるだけ流さないようにしましょう。特にてんぷら油は決して流さないように。
台所からでる生ゴミはできるだけ細かいゴミも回収してください。流しの排水口につける市販のネットもありますが、履き古したストッキングを適当な大きさに切り、ネットとして利用できます。ストッキングの編み目は細かいため、小さな生ゴミまで回収できます。
(ディスポーザー対応型浄化槽が設置されている場合は除く)
非常によい心づかいです。廃油は台所のパイプが詰まる原因にもなりますし、浄化槽の微生物には手に負えない代物です。油のBOD(生物化学的酸素要求量といい、微生物が汚れを分解するのに必要な酸素量)は150万mg/ℓで、たった27ミリリットル(cc)で、人が1日に出す汚れに匹敵します。フライパン、鍋などに付いた調理油もふき取るようにしてください。
お風呂での注意点
イオウ温泉系の湯の華や入浴剤は避けたほうが無難です。それ以外の入浴剤は使っても問題ありません。
最近のカビ除去剤は強力で、特に塩素系の除去剤は浄化槽内の微生物を殺したり、働きを弱めたりします。使用した際には、不要なタオルやキッチンペーパーなどでふき取るか、使用後に水で十分に洗い流すようにしましょう。
風呂の湯はある程度さましてから、浄化槽に排水してください。浄化槽内の微生物(バクテリア)の働きに悪い影響がでることがあります。
また、残り湯は、洗濯に使うなどして有効に活用する方が浄化槽への負担を少なくすることができます。
一般的に、合併処理浄化槽であっても、風呂場の改造で浴槽を大きくした程度の水量の増加には対処できるよう設計されています。
しかし、同時に全自動洗濯機の排水を流すような場合には、時間をずらすなどの配慮をしてください。
また、排水口に取り付けるだけで、流量を調整する器具もありますので利用してみてください。
洗濯での注意点
浄化槽は、微生物の働きで水をきれいにします。このため、微生物の働きに影響を与えるものは使用しないようにしなければなりませんが、環境にやさしいという粉石鹸を使用しても特に差しつかえありません。
洗剤は、環境への負荷を減らすため、必要以上に使わないようにしましょう。多量に使用した場合には、異常な発泡が起きたり、排水管の径が小さいと管のつまりの原因となることもありますので注意してください。なお、最近の合成洗剤はほとんど無リンですが、浄化槽によるリンの除去はやや難しいことから、有リン洗剤は使用しないようにして下さい。
洗濯物の量にもよりますが、たとえば2槽式の洗濯機であれば、洗剤で洗ったのち、すすぎにかける前に脱水機でいったん洗剤を落としてから、すすぎにかけるなどの工夫をしてください。また、風呂の排水と洗濯の排水を同時にするなど の「排水ラッシュ」はできるだけ避けてください。
電源についての注意点
非常のときを除き、電源は切らないでください。電源を切るとブロワから空気が送られるかくはん(散気)装置が働かなくなります。そのために槽内の微生物が死んだり、働きが悪くなります。
浄化槽のブロワは、浄化槽の接触ばっ気槽内に棲みつき、汚物を食べて、分解している「好気性バクテリア」のために、空気を送っているのです。空気がなければ、それらのバクテリアが窒息してしまうからです。
浄化槽を長期間使用しないときは、電源を切り、清掃して水を張っておく必要があります。また使用再開にあたっては保守点検を行ってください。
浄化槽の上部の利用の注意点
家庭の乗用車程度の荷重には耐えられるようにできていますが、念のため施工業者と相談してください。なお、工事に大きな工作機械を使うときは、浄化槽を破損しないように十分気をつけてもらうようにしてください。
マンホールやブロワの上には物を置かないでください。維持管理ばかりでなく、送風を妨げることもあります。また、ばっ気装置のモータの側には、灯油などの可燃性のものは置かないでください。